車椅子でもラクラクのバリアフリーな温泉と落語を楽しめる宿

申請者情報

企業
鈴の宿 登府屋旅館
山形県米沢市小野川町2493
遠藤 直人
遠藤 直人
遠藤 直人
0238−32−2611
tofuya@tofuya.jp
・ホームページ・ブログ http://tofuya.jp/
・ユーチューブ https://www.youtube.com/user/onogawato28/
・インスタグラム https://www.instagram.com/naotoen/
・フェイスブックページ https://www.facebook.com/onogawa.spa/

AWARD申請内容

:二次審査中


:サービス

受賞を目指す産品やサービスの名称
車椅子でもラクラクのバリアフリーな温泉と落語を楽しめる宿



2014年、車椅子対応を始めるキッカケとなったバリアフリー特別室


申請する商品やサービス等の概要
米沢の奥座敷と呼ばれる「小野川温泉」は、米沢八湯の一つ。
834年に小野小町が開湯したとされる温泉で、現在、温泉宿は、13軒。

当館は、温泉街の中ほどに位置します。
創業は定かではありませんが、江戸時代。
明治43年の宿屋営業許可証が残っております。
平成4年に全面新築し、全14室の現在の建物となりました。

2014年から「3世代でも安心!車椅子でもラクラクの温泉宿」と謳い、バリアフリー対応に力を入れてきました。
当初は「本当に車椅子で旅行をするお客様はいらっしゃるのか?」と不安もありましたが、おかげさまで順調に伸び、現在では、ほぼ毎日いらっしゃるようになり、2014年から通算500組以上、ご家族を含めれば1,500名以上の車椅子のお客様にご利用いただいています。

お客様の要望をもとに、バリアフリー特別室、バリアフリーツインルーム、バリアフリー貸切風呂、バリアフリートイレ、バリアフリー会食場、リフト付きのマイクロバスなど、車椅子ユーザーである加藤健一さんのアドバイスをいただき、毎年少しずつ改修してきました。

ソフト面では、スタッフへのユニバーサルマナー研修を行い、お客様の見えない声を受け止められるよう学んでいます。
予約制でヘルパー派遣サービスの仲介(有料)も行い、お客様がお願いしたい時間にピンポイントでプロの介助を受けられる体制は、ご家族だけでは介助が難しいお客様に好評です。

クラウドファウンディングを活用して新設した貸切風呂は、車椅子から移乗しやすい作りで、シャワー時にも体が寒くならないシャワー・ド・バスを導入するなど、ユーザー目線の工夫を凝らしました。

また、「楽しくなければ旅行じゃない」というコンセプトのもと、夕食後の時間帯の「落語会」を定期的に開催しています。
立川流の真打をお呼びして、2時間たっぷり。これまで14回、続いています。

2018年には、小野川温泉の9つの会場で毎日落語会を行い、他の宿からも参加できる「湯あそび祭」を企画・運営し、300名以上が来場。温泉街でのまちづくりのキッカケとしても落語を活用しています。


挑戦と創造のストーリー
「車椅子でしたら、大変申し訳ございませんが他のお宿へ…」

スロープやエレベーターがあり、「高齢者にもやさしい」と謳っていた当館ですら2013年までは車椅子のお客様をお断りしていました。当時はまだ、館内に段差があり、受け入れ実績もなく、トラブルを恐れていたためです。

ちょうどその頃、父が入院し、車椅子を利用しはじめました。
介助する家族にとって移動は病院の中ですら大変で、旅行に行こうと思っても、あきらめざるをえませんでした。
この頃、旅行業界では、電車やタクシー、レストラン、観光施設のバリアフリー化が盛んになり、日帰りなら車椅子でも旅ができるようになってきました。

しかし、宿泊のハードルは高いままでした。
旅館は段差がありハードの改善が必要で、食事以外にも、入浴、トイレ、就寝など、様々な対応が求められるからです。
しかし、「地域に一軒くらい車椅子対応が必要ではないか」との思いから2014年にバリアフリー特別室を改修。
車椅子のお客様の受け入れを始めました。

車椅子で旅する方がいらっしゃるか不安もある中、徐々にお客様は増えはじめました。
当時は、貸切風呂がなかったため、大浴場を使われない時間帯に貸切状態にして入っていただきました。

介助が大変な方には、介助ヘルパーを仲介し、有料で宿に派遣してもらえる仕組みを作りました。
その後、やはり専門のお風呂が必要とクラウドファウンディングを活用して、座った状態からの滑り台のように入る「貸切風呂」を作りました。

また、機能だけではなく、楽しみがあってこその宿との思いから、プロの落語家をお呼びして、定期的に落語会を開催。落語は、聴覚障がいでなければ、老若男女が楽しめます。

その後、通常客室2室と会食場、1階トイレをバリアフリー化。
温泉街の公衆トイレがバリアフリーではないため、車椅子で観光のお客様向けにトイレを一般開放しています。

小野川温泉では、ほたる鑑賞やかまくら村、田んぼアートも車椅子のまま、楽しめます。

「温泉に入ったのは、10年ぶり」「一人でお風呂は13年ぶり」「あきらめていたけど、夢がかなった」そんなお声もいくつもいただきます。
いくつになっても温泉をあきらめない、米沢に行けば温泉に入れる、そんな存在になるべく、今後も活動してまいります。


商品やサービス等の品質の高める工夫
バリアフリーを考える際、障がいは人それぞれです。
自宅のリフォームはその方に合わせてできますが、旅館は不特定多数が使うため、どんなにがんばっても全員に100点の施設を準備することは不可能です。

ですから、なるべく多くの情報を事前に聞き取り、お知らせするよう心がけています。
ホームページでは写真だけでなく動画も、パンフレットには宿情報だけでなく米沢を車椅子で旅する際のモデルコースや交通なども掲載しています。

一番重要なのは、電話での聞き取りです。
お客様の状況をお聞きし、受け入れ可能か?をお答えしています。初めて聞くような要望や症状もあります。当館では難しい場合には、正直にお伝えしています。

普段は介護施設にいらっしゃるお客様が外出し、ご家族、ご親戚と寿のお祝いをする場合も多く、トラブルがないよう事前の打合せをしっかりしています。

落語に関しては、お部屋の名前を落語の演目にしたり、お部屋の鍵を扇子の形にしたりして、落語を感じる工夫をしています。また、落語家さんによる温泉街レポートを動画でお伝えしています。


商品やサービス等の独自性・価値
「当館のウリは米沢牛と源泉100%掛け流しの温泉です」
以前の紹介文です。実は、どちらの要素も小野川温泉の全ての宿に当てはまり、ウリとは呼べません。

「13軒の温泉旅館が並ぶ小野川温泉でどう選んでいただくか?」を悩んでいたとき、たまたま廊下でのお客様の会話が聞こえてきました。

「この旅館はいいね、エレベーターの前がお風呂で。」
最初、意味がわかりませんでしたが、お風呂が近いという価値があることを教わり、それから「高齢者にもやさしい宿」として、その後「車椅子でもラクラクな宿」を目指してきました。

2014年ごろ、車椅子で泊まれる宿は、県内に当館を含め2軒だけ。
需要も定かではないなか、バリアフリー特別室を改修し、徐々に受け入れの幅を広げてきました。

同伴者では介助できないくらい体格差のあるお客様からのご相談が、介助ヘルパーサービスのきっかけになりました。
宿での訪問介助ができないか、電話帳で市内の全ての訪問介護事業者に電話で確認しました。介護保険の適用外でもあるため難航しましたが、市内で3軒だけ見つけることができました。

落語に関しては、「せっかく落語家をお呼びするので近隣の地域でも」と、主催者を募集し、落語会のやり方をお伝えし、山形や福島、新潟でツアー化できました。これまで当館では14回ですが、周辺を合わせると43回の落語会を開催しています。

米沢という地方でできることが一見限られるなか、可能性を探り、新たなやり方を生み出し、旅館や米沢の可能性を広げるのが、当館の価値です。


商品やサービス等に対する評価
お客様の声で一番大きいのは「あきらめていた温泉に入れた」です。

車椅子ユーザーが普段できないのは温泉入浴です。
10年以上ぶりの温泉や、久しぶりに一人で温泉などご家族も感動されている場面をお見かけします。

車椅子ユーザーは、経験からか「本当に受け入れてもらえるか半信半疑」な場合が多いです。
そもそも旅行に出かけるだけでも不安があるなか、「うちは大丈夫ですよ、安心してお越しください」というウェルカム感が伝わり、あきらめずにお出かけしていただけるのが何よりの評価です。

2019年には「人に優しい宿」の表彰で「全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会会長賞」、いわば「バリアフリー宿 日本一」を頂戴しました。
また、バリアフリー旅行で多数の著作のある山崎まゆみさんには、「おすすめバリアフリー宿20選」に選んでいただきました。

落語は、リピーターが多く、これまで14回開催。ダイレクトメールを見て落語会に合わせて泊まってくださる方もいらっしゃいます。


情報発信の手段
まず、バリアリーに特化した宿としてJTBなどの旅行会社のパンフレットやネット系の旅行会社のサイトに掲載しています。
さらに、自社サイトやブログで詳細を記載し、SNSでは、フェイスブックやツイッター、ユーチューブ、インスタグラムなどで情報発信をしています。フェイスブックページには、お客様の記念撮影をアップし、お客様がお家でダウンロードできるようにしています。
自社サイトからは、パンフレット送付を無料で行なっており、パンフレットだけでなく周辺の観光情報をお送りしています。
パンフレットは、通常、宿のことしか記載しませんが、当館では近隣のバリアフリー情報をまとめたモデルコースやバリアフリータクシーやレンタカーの連絡先など、旅に必要になる情報も合わせて掲載しています。

また、既存客向けには、3ヶ月に1回のペースでダイレクトメール「鈴のたより」を発送し、旬の情報やイベントなどをお知らせしています。

また、バリアフリー旅行のライターさんと懇意にしており、「旅行読売」で長年バリアフリー宿泊の連載をしている中元千恵子さんや「さぁバリアフリー温泉に出かけよう」などバリアフリー旅行の第一人者の山崎まゆみさんに事あるごとに記事にしていただいています。
「さぁバリアフリー温泉に出かけよう」では、おすすめ温泉宿20選に選んでいただきました。


評価を活かす仕組みや体制
旅館のお客様の声は、よい声ほど「よかった」と漠然とし、悪い声ほど詳細に書かれる傾向があります。どうしても悪い声に目が向きがちなのですが、リピーターが本当に評価している点を探るべく、「旅の幸せメッセージを教えてください」という表記で筆記式で回答していただいています。

スタッフには回覧し、ネット上に公開もしています。

お客様の記念撮影をフェイスブックページに掲載させていただいており、コメント欄にお客様からお返事いただくこともございます。
SNSでは、エゴサーチをし、お客様の投稿にはお返事やお礼をしております。


今後の計画
当初の目標が、宿として1組の車椅子のお客様をきちんとおもてなしすることでした。段差のストレスなく、お風呂も、食事も、就寝も。2019年に会食場を直したことで、この目標は達成できました。

今後は、より細やかなハード面での整備と受け入れの幅を増やすこと、他の宿にも波及させることが目標です。
ハード面では、女性の露天風呂や廊下の手すりなど、未整備な部分があります。
ソフト面では、スタッフ教育とともに視覚障がい、聴覚障がいなど、車椅子対応以外のお客様の受け入れを増やしていきたいと思います。

また、現在、山形県旅館ホテル生活衛生同業組合青年部の県部長ということもあり、入浴介助ヘルパーの派遣を県内の他の宿でもできるよう展開していきます。
当館発のサービスを山形のどのエリアでもできるようノウハウを公開していきます。

落語においては、定期的にプロの落語家さんをお呼びしながら、館主自らいつでも落語ができる体制を整えるべく、現在落語を教わっております。


米沢への貢献
米沢に住んでいる方が「温泉をあきらめなくてもいい」が当館の価値です。
米沢に住んでいなくても、米沢に行けば、「温泉をあきらめなくてもいい」とも言えます。

高齢化が進むなか、車椅子とまではいかないまでも、バリアフリーがうれしいお客様はたくさんおられます。
高齢者だけでなく、妊婦さんや子連れのパパママにとってもバリアフリーで旅行しやすくなります。

また、小野川温泉の公衆トイレは、バリアフリーではありません。
改修には市の予算もかかります。
そこで、バリアフリートイレの開放を行なっています。
温泉街に遊びにいらして困らないよう、車椅子の方に限り無料開放しています。

2019年に「バリアフリー宿日本一」に表彰されたことは、当館のような小さい宿、地方の宿でもバリアフリーに取り組め、米沢にはそんな宿があるという全国への発信になりました。

落語については、地方ではななかなか生の落語を聞く機会が少ないなか、宿で開催し、近隣でツアーをすることで生の伝統文化に触れる機会を提供しています。




クラウドファウンディングを活用した貸切風呂。右が全身を暖められるシャワー・ド・バス



世代を超えた寿のご旅行。



車椅子のまま楽しめる落語会。





調査員評価集計結果

問1.秀でた「挑戦と創造」のバックグランドを感じる
そう思うグラフ3
どちらとも言えないグラフ0
そう思わないグラフ0

問2.「優れた品質」や「他にはない価値」を感じる
そう思うグラフ3
どちらとも言えないグラフ0
そう思わないグラフ0

問3.販売・広告活動等優れた取り組みをしている
そう思うグラフ3
どちらとも言えないグラフ0
そう思わないグラフ0

問4.米沢を代表し、米沢ブランドを高める事に貢献しそう
そう思うグラフ2
どちらとも言えないグラフ1
そう思わないグラフ0

問5.これからも更なる進化が期待できる
そう思うグラフ3
どちらとも言えないグラフ0
そう思わないグラフ0

評価 (5 / 5)

5
コメントを残す

5 コメント作者
新しい順 古い順
しゃちょう
評価 :
     

温泉旅館になくてはならない普遍性に、個店として確立しなければならない独創性。その2つがうまい具合に両立されていると思います。落語を気軽に聞くことができるのも◎。

りさぶろう
評価 :
     

温泉の完全バリアフリー化。
考えてみれば、一番必要とされている方と、日ごろの介護で疲労や心労が溜まりやすい家族の想いに応えた素晴らしい取り組みです。
介護されている家族も、安心して温泉でリフレッシュできることでしょうね。

覆面調査員X
評価 :
     

様々な魅力を持つ米沢の温泉の中で、他にはないバリアフリーの宿を追及し顧客の評価を受けている。SNSでの発信力もあり、車いすで入れる風呂の改築費用をクラウドファンディングで集めた。これからの発展が楽しみ。

v70r4188
評価 :
     

利用者目線での対応が素晴らしい!頑張ってください!

インキュベーションポートやまがた株式会社
評価 :
     

バリアフリーへの特化だけでなく、様々なことに挑戦し、米沢の価値を高めるような活動を行ってこられている素晴らしい旅館だと思います。これからも応援しています。