明治時代から続く、日本独自の食文化「駅弁」をとおして、米沢の魅力を全国へ発信

申請者情報

企業
株式会社 松川弁当店
米沢市アルカディア1丁目808-20
代表取締役 林 真人
宮下 徹也
宮下 徹也
0238-29-0141
eigyo2@m-bento.co.jp
ホームページ: http://yonezawaekiben.jp
インスタ:https://www.instagram.com/matsukawa_bento/
日本鉄道構内営業中央会HP: http://www.ekiben.or.jp/main/

AWARD申請内容

:認定!


:サービス

受賞を目指す産品やサービスの名称
明治時代から続く、日本独自の食文化「駅弁」をとおして、米沢の魅力を全国へ発信



駅弁立売用の「おかもち」と米沢駅


申請する商品やサービス等の概要
1899(明治32)年、山形県で初めての鉄道駅である米沢駅の開業とともに創業した松川弁当店は、地元米沢の皆様と、鉄道利用のお客様に支えて頂き、120年以上米沢の食文化を駅弁という形で発信してまいりました。上杉鷹山公が推奨した鯉を甘煮にした「鯉弁当」に始まり、チャールズ・ヘンリー・ダラス氏が横浜に持ち帰り有名となった米沢牛を使用した「米沢牛肉すきやき弁当」、また米沢では古くから伝わるウコギや山菜、鮭の塩引寿司等を盛り込んだお弁当も製造し、米沢の食文化を発信しております。持ち運びしやすい容器に彩りや季節感を盛り込み、駅弁としてお作りしてまいりました。この日本独自の食文化「駅弁」は、今や海外でも「ekiben」「bento」という固有名詞になるまでに至っております。これからも、米沢ならではの食材を駅弁に用いる事で米沢はもちろん、全国に発信し、米沢ブランドの向上に努めさせて頂きます。駅弁製造販売というサービスは、以下の独自性や価値がございます。

① 地域性(ローカル色)
弊社の駅弁には、米沢ならではの食材や料理、風土が反映されております。地元の味を手軽にお楽しみ頂ける事が、観光客や旅人にとって大きな魅力です。また、駅弁は掛け紙を見て「ワクワク」、蓋を開ける「ワクワク」、お召し上がりの「ワクワク」と3つの「ワクワク」をご提供いたします。

② 季節感
・春らしく、細竹、山菜、菜の花やふきのとう、桜風味の食材
・夏の清涼感と旬をテーマに丸茄子漬、枝豆やとうもろこし
・秋のごちそうをイメージし、松茸やしめじ、栗や食用菊
・冬は紐を引くと温まる加熱式容器を使用し、小野川温泉玉子、青菜漬け、おみ漬け、雪菜等
季節に応じた副菜をお入れし季節感豊かな駅弁をお作りしてます。

③ 旅の思い出
駅で駅弁を買い、列車内やホテル、目的地等で食べるという「旅の一部」であること。
その「時間・場所・空気感」を含めて駅弁の価値となる事から、より米沢らしく思い出に残る掛け紙と中身づくりを心掛けております。

④ 手作り感・ストーリー性
明治時代から続く味や料理法が現代まで引き継がれており一つ一つ丁寧にお作りする弁当には、歴史や物語がございます。また、掛け紙や容器にもこだわりを持ち、米沢の観光地や名物を記載した包装も芸術的と評価されコレクターも存在します。

⑤ 利便性・完成度
冷めても美味しくお召し上がりいただけるよう、味付けや調理法は常に最善の状態でご提供しております。また食べやすさ、コンパクト性など、持ち運び弁当としての完成度も追及しております。

⑥ 限定性・希少性
「米沢」でしか買えない、米沢駅限定販売、上杉まつり等イベント時のみ販売等、希少性が購買意欲を高め思い出に残る商品開発もおこなっております。

⑦ 観光資源としての価値
駅弁は単なる食事ではなく「地域ブランド」、「観光資源」としての役割を担っております。また全国で開催されるスーパーや百貨店での駅弁フェアは、米沢の観光PRや活性化にもつながります。

⑧ 駅弁事業者とは
私たちがお作りする駅弁は、お客様の口に直接入るものです。安全と安心が創業時より何よりも優先され徹底管理してきた重要事項です。また私たちは、鉄道会社と連携し列車が災害や事故で運休になった場合、炊き出しの準備や列車内の皆様へ迅速に食事をご提供させて頂く体制と備蓄を確立しております。東日本大震災時には、各地の駅弁屋が弁当を被災地や福島原発の現場へ供給させて頂きました。


挑戦と創造のストーリー
駅弁事業者として、これまでに遭遇してきた困難は、
① 戦時中は軍事優先により、米不足による相場上昇や旅行の制限などで大きな打撃を受けました。食材が不足する中、戦地へ赴く兵隊への弁当(軍弁)製造にも注力しました。
② 昭和30年代から始まる高度成長期により自家用車普及にともなう鉄道利用客の減少が始まりました。
③ 奥羽本線の電化、高速化が進み客車の窓も開かなくなり長距離列車への窓越し販売ができなくなりました。
④ 米沢駅での列車停車時間の短縮により、駅ホームでの販売が低迷していきました。
⑤  国鉄民営化でJR発足となり、エキナカ店舗が充実し駅弁以外の選択肢が増えていきました。
⑥ 山形新幹線開業に向けた工事が始まり、東京方面へ向かうお客様は米沢駅ではなく福島駅で駅弁を購入される傾向が強まりました。
⑦ コロナ禍に出張や旅行が制限され、鉄道利用もほとんど無くなりました。
⑧ 米沢駅で販売が低迷する為、大都市へ出荷できる体制を整えなければ企業存続が困難な状況になりました。

昭和40年代には、全国で約400あった駅構内事業者は、現在約70余に減少しております。
米沢に限らず全国的に、上記困難等により駅弁事業者は減少の一途を辿っております。そのような環境の中、米沢らしさと独自性を求め、掛け紙に米沢の方言を記載した駅弁や、冬の駅弁は冷たくご飯が固いというご意見から、東北初の加熱式容器を使用した米沢牛駅弁、全国発となる蓋を開けると「花笠音頭」が鳴るメロディ駅弁、法政大学の学生と共同で、大学講義の一貫として、都内の若者を中心に、食べてみたい山形食をテーマにアンケートを取り、米沢や山形名物を取り入れた「大地の恵み 山形プレミアム弁当」の商品開発もしてまいりました。
さらに大都市での大口販売に対応できる製造体制と、その物流網の構築の為、2008(平成20)年に米沢市オフィスアルカディアに最新の衛生環境を整えた新工場を完成させました。これにより1日最大20,000食の弁当が製造可能となり、米沢駅構内での販売の他に、全国各地の百貨店やスーパーで開催される駅弁フェアにも対応できるようになりました。合わせて独自の物流網を構築し、首都圏(東京駅や新宿駅等)での駅構内販売も可能となり、米沢へお越しになれないお客様や、米沢へ思い入れのあるお客様に、より身近な米沢の食をご提供できるようになりました。物流網は順次拡大させ、新大阪駅・京都駅・新横浜駅・品川駅・上野駅・大宮駅・宇都宮駅へと広げ、これらの駅で毎日米沢駅弁を販売して頂けるようになりました。
現在では、「はこビュン」(新幹線輸送)を利用し朝製造したお弁当を新幹線で首都圏に運び、より鮮度の高い米沢駅弁をお届けしております。


商品やサービス等の品質の高める工夫
最重要テーマとしては『衛生管理の徹底』があげられます。山形県HACCP導入型基準を実施し安全・安心なサービス提供に取り組んでおります。最新鋭の設備、衛生管理を徹底した工場で製造から梱包、保冷車による納品を確立しております。従業員の労働環境につきましては、法令遵守を徹底し働き易い環境を整備し、フラットな組織づくりで迅速な情報の共有化と、意見のとおりやすい職場整備を心掛けハード面、ソフト面での品質向上に取り組んでおります。
年間とおして美味しくお召し上がり頂けるよう季節によりお米の水加減、炊飯時の火力、味付けの濃度等を調整し、レシピを確立し従業員が均一に同じ味わいを保てるように取り組み、商品価値の向上にも努めております。
弊社のご飯は山形県産はえぬき又は、つや姫を使用しており、より山形を感じて頂ける商品となります。
駅弁以外にも、大規模なスポーツ大会や学会、セミナー弁当も手作り感を活かしたお弁当を納品しております。山形大学工学部売店や、舟山病院売店へ毎日販売用のお弁当も納品し、これらお弁当をお召し上がり頂いたお客様のお声を製造にフィードバックし、魅力あるお弁当の開発に常に挑戦しております。


商品やサービス等の独自性・価値
お米や米沢牛、原材料等は基本米沢の企業から仕入れ地産地消を心掛けております。
米沢牛肉の加工・調理は自社で専門の部署に、肉を捌く職人を配置して手切り・手焼き・炭火焼等、他の駅弁事業者ではできない高品質な米沢牛の商品を製造しております。そして製造スタッフは、地元米沢の味を再現し手作り感のある商品製造を心掛けております。
食材のみならず、歴史的なストーリ性を重視した「直江兼続御膳」という商品では、直江家の家紋をイメージした六角形の容器に、米沢の食材を入れ、掛け紙裏面に直江兼続公の生涯や、上杉家の略系図など記載しストーリの発信をおこなった商品や、米沢+他地域食材といった商品作りも積極的に取り組み独自性を出しております。例えば、米沢出身の伊達政宗公が24歳の時、秀吉の命により米沢から宮城へ転封され、好んでお召し上がりになられた宮城の郷土料理「鮭はらこめし」をコラボさせ【米沢牛すきやきと鮭はらこめし】という商品を仙台駅で販売開始しました。また、明治時代初期に米沢牛を横浜に持ち帰り一躍米沢牛を有名にされた、ダラス氏に因んだ商品【米沢牛と横浜焼売弁当】を新横浜駅等で販売しました。これらの商品は、掛け紙にもそのストーリーを記載し、他地域でも米沢に親しみをお持ち頂けるよう情報を発信しております。この他にも、京都に次いで全国で2番目に老舗店舗の多い山形ならではの特性を活かし、米沢で創業100年以上の蔵元(新藤酒造様)の酒粕、醸造元(平山孫兵衛商店様)の熟成味噌、そして弊社の駅弁製造技術を合致させ【米沢伝統の百年焼肉弁当】という商品も販売してまいりました。
コンビニ弁当にはない、手作り感と本物志向の食材とその物語を追及した商品を武器に、常に新しい発想とサービスで米沢を発信してまいります。


商品やサービス等に対する評価
鉄道利用の他に、旅行代理店を介したバスツアー、様々な学会やスポーツ大会等のお弁当に米沢の食文化を取り入れ、米沢でごゆっくりと観光をお楽しみになれない、数多くのお客様へ米沢食材を味わって頂けるようご提供し、お喜び頂いております。また、過去に下記駅弁コンテストでの受賞させて頂きました。

■JR東日本主催 駅弁味の陣
味覚賞:米沢牛炭火焼特上カルビ弁当
大将軍:米澤牛焼肉重 松川辨當
エリア賞:黒毛和牛炭火焼牛肉重

■日本食料新聞社主催 惣菜・弁当グランプリ
 金 賞:プレミアム焼肉弁当
 金 賞:米沢牛づくし弁当
優 秀 賞:復刻版米沢牛肉すきやき弁当
 入 賞:米沢牛伝統の百年焼肉弁当
 入 賞:山形おもてなし弁当

■講談社発行 「大人の週末」
東京駅駅弁&手土産ランキング 
肉系駅弁部門第一位 : 米沢牛炭火焼特上カルビ弁当


情報発信の手段
自社のHPやSNSはもちろんの事、私たち構内営業事業者が加盟する日本鉄道構内営業中央会(昭和21年設立)に所属し、「駅弁の日」、「駅弁マーク」等を作り、関連する各種イベントや催事を開催し、会員全体で全国的な情報の発信に取り組んでおります。またJRとも連携し山形新幹線開業記念弁当や、観光列車、米沢駅構内でのイベント時には積極的に参加し、JRと共にマスメディアへの発信をおこなっております。


評価を活かす仕組みや体制
SNSや、メールでお寄せいただいた評価やご意見は、良い事も悪い事も含め、社内のグループラインで各部署のリーダーに共有し、月1回のCS会議において改善や進化の為のミーティングをおこない全社員への共有に取り組んでおります。


今後の計画
これまでの伝統を守りつつ、現代のライフスタイルやニーズに合わせて進化させる為、弊社が誇る技術と味を活かした「冷凍駅弁」や、芋煮やウコギ、米沢牛そぼろを使用した「冷凍おにぎり」や「冷凍肉団子」、自家製調理にこだわった「山形肉そば(冷凍)」の商品化にも取り組み、より多くの方に米沢(山形含む)の食をPRしてまいります。また、製造品質の更なる向上の為、ISO9001取得に向けた仕組み作りと準備を進めております。


米沢への貢献
時代とともに、食の欧米化が進んでおりますが、古くから伝わる米沢の郷土料理や名産を後世に継承する為に、これからも変わらぬ味を繋いでまいります。また20代、30代の若いお客様にも興味を持って頂けるよう手軽で安価な商品開発も心がけ、これからも米沢へ貢献できるよう地元の原材料や調味料を使用しサービス提供を続けてまいります。
また県外の方へは、駅弁をお召し上がりになり今度は米沢にいってみたいと思っていただけるよう真心込めて駅弁を製造してまいります。



現在取り組んでいるSDGsの取り組み<参考>
一部容器材質をプラから紙に切り替えております。
材料の端材を調理し、新たな食材として活用しております。
当日残ったご飯をおにぎりにして、冷凍保管をしております。
事務所内でのペーパーレス化を推進しております。


7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに 8.働きがいも経済成長も 9.産業と技術革新の基盤をつくろう 11.住み続けられるまちづくりを 12.つくる責任つかう責任


商品やサービスの画像


昭和10年頃の掛け紙 米沢市の地図や観光名所までの距離等も記載し旅の方に米沢をPRしました



鮭の塩引寿司や米沢牛入り芋煮、玉こんやおみ漬け等の山形名物をいれた駅弁



瞬間冷凍で美味しさを閉じ込め、全国に発送している冷凍弁当




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鈴木
2 ヶ月 前
評価 :
     

父が米沢駅の近くで働いていた時、仕事帰りにときどき買ってきて、食べていたことが懐かしく思い出されます。大変おいしく豪華な松川弁当店さんの弁当をいただくことが最高の時間でした。
最近は駅に行く機会も減ってしまいましたが、品質AWARDに挑戦されるとのことで、また買いにうかがいたいと思います。ぜひNo1駅弁をこれからも出してください。

しゃちょう
2 ヶ月 前
評価 :
     

駅弁は、電車での旅のでも一番楽しみだと思います!美味しい弁当を食べながらその地域の思い出を語り旅をするのは本当に楽しくすてきなことだと思います。また、観光の立場からも明治より米沢市のPRを続けてきていただいていることに心より感謝いたします。また、冷凍の駅弁は自宅でも旅を思い出すことができる素晴らしい商品だと思いますので、ぜひこれからも挑戦を続けていただければと思います!

大魔王様
2 ヶ月 前

歴史と文化を継承し、地域とともに成長されていることに敬意を表します。まずどの駅弁を食べても美味い!!商品化まで相当な努力があることがうかがい知れます。いまや全国あちこちで目にする松川弁当さんですがその分の責任も重いですね。これからも米沢を代表する商品を製造販売していただけることを期待しています。
ひとつだけ…説明文のなかで「進藤酒造様」とありますが正しくは「新藤酒造様」です。ご訂正を。

RAN
2 ヶ月 前

旅のわくわく感は、なんと言っても駅弁を選ぶことから始まります。
松川弁当店さんの困ったことは、種類が多すぎること(笑)
主要駅での販売も米沢への貢献大ですね。