米沢発!中小企業のスマートファクトリー

申請者情報

企業
三井屋工業株式会社 東北事業部
米沢市八幡原3丁目446番12
代表取締役社長 髙橋直輝
東北事業部 奥田照彦 
東北事業部 奥田照彦 
08069817500
tokuda@mitsuiya.co.jp

AWARD申請内容

:認定!


:サービス

受賞を目指す産品やサービスの名称
米沢発!中小企業のスマートファクトリー



自動車用内外装部品生産成形機


申請する商品やサービス等の概要
当事業部は愛知県豊田市に本社を置く『三井屋工業株式会社』の東北拠点です。自動車用内外装部品を日々生産し各自動車メーカーの車両組み立て工場に納入をしております。昨年の5月より当米沢の地において国内第5の生産拠点として産声を上げました。新工場を建設/操業するにあたり《安心・良品・高効率》(弊社内ではそれぞれの頭文字を取ってARKと呼称)に『ものづくり』をし続ける為の中小事業規模に見合ったスマート工場づくりにチャレンジしています。これから先のいずれの産業も避けては通れないだろう【IoT、DX】による生産改革を通じて新しいモノづくり、又投入する資源、エネルギーのミニマイズ化、アップサイクルへの取り組みによるサスティナブルな事業所を目指し将来、米沢の中小企業の皆様にお手本としてご活用頂けるように取り組みを継続しています。※【IoT=Internet of Things モノのインターネット接合】【DX=Digital Transformation デジタル技術による変容】


挑戦と創造のストーリー
新工場の設立に当たり設立趣意書を策定しました。『オール東北の復興支援』、『生産拠点の分散によるBCP対応』、『新規拠点に設立による事業拡大』は元より重要な目標、挑戦の1つとして『スマートファクトリー化にチャレンジしそれを成しえる』を掲げました。弊社の重要方針にある『安心して良品だけを高効率に作り続ける』モデル工場が当東北工場であります。既存工場では実現出来てĪない高い生産指標(品質、可動率、生産性倍増など)の各【KGI】を設定しました。新工場設立の青写真がまだおぼろげな頃より世間ではDXによるものづくり改革が声高になっていました。弊社も一般的なIT導入は済んでいましたがIoTやDXを使った改革には後手に回っておりました。折しも世の中はコロナ真っ盛りで日常業務でさえ支障が出る中、我々の事業規模感でのスマートファクトリーとは?からの議論。各指標の実現の為に必要なDXツールやIot技術については専門家のいない中、手探りの状態からの検討、出発でありました。社長をトップした各機能実現の為のプロジェクトチームを作りまずは勉強からスタート。各ツールの開発、トライ&エラーを繰り返し工場建築並びに設備設置に合わせながら導入。主に内製比較にはなりますが同生産規模感で半分の人材で生産が継続可能な『生産性倍増工場』を具現化した形で2021年の5月より操業を開始し致しました。※【KGI=Key Goal Indicator 企業の経営戦略やビジネス戦略を達成するために何をもって成果(ゴール)とみなすのかとする指標の事です 】


商品やサービス等の品質の高める工夫
品質面において画期的な事は一部の不良検出を目視検出から自動検査システムを開発し導入した事です。生産性倍増を補完するツールについては①《HiConnex(ハイコネックス)》と呼ぶ自社開発の自動日報システムの導入及びそれと連動した生産進捗管理システムによる計画・集計・進度管理業務工数の画期的低減です。②生産設備各機能に設置したセンサーからの信号をIoTデータとして蓄積。集計/分析/閾値の設定とリンクさせた予兆管理システムの開発と導入。『意志を持って止める事はあっても勝手に止まる事の無い設備』へのチャレンジ、可動率向上がそれです。③また、工場内の製品、端材などの人的搬送業務の0化及び工場内のレイアウト変更時に動線変更を容易に対応可能とした物理的導線施工の無い【AGV】の導入などです。※【AGV=Automated Guided Vehicle (無人搬送車又は無人搬送機)です】


商品やサービス等の独自性・価値
まず、品質の切り口から自動検査システムは非検査物や検査内容によって手法は多岐に渡ります。弊社取り扱いの内外装部品も物理的な欠陥から官能評価に頼る様な外観の不具合まであります。特に物理的な欠陥(製品形状の一部が欠落)などには画像検査などが一見有効に考えられます。しかし私共の製品は樹脂部品ですが非常に柔らかく形状固定がなかなか出来ない事により幾度と無く実施した画像診断トライでは有効な値は示す事は出来ませんでした。しかしスマートファクトリーの品質面のキー技術とすべく違う新たな切り口(カットする工程上発生する抵抗電圧を電気処理)を見つけ出し画像診断比較でもそれ以上の精度を得る事が出来ています。また、《HiConnex(ハイコネックス)》自動日報システムについては『中小企業の生産現場が使い易い事!』をモットーにプロトタイプから現場での熟成を重ね『中小の現場生まれ』と言っても良いと思います。日々入力する作業者、あるいはそれを使ってアクションを考える監督者/管理者の双方に取って使い易いツールに仕上げる事が出来ております。現在、本システムは私共の中では開発を終え各工場に導入済みです。尚、《HiConnex(ハイコネックス)》については販権を親会社に帰属し市販向けに更に熟成中。生産現場の日々管理にお困りの中小製造業様に向けて2022年末葉より【SaaS型】のサービス開始予定で準備中です。※【SaaS=クラウドサーバーにあるソフトウェアをインターネットを経由して利用できるサービスです】


商品やサービス等に対する評価
弊社はBtoBの位置付けと言う事もあり作っている製品やプロダクトプロセスを一般顧客様より評価を受ける事はありませんが取扱い生産品目の業界シェアですと国内最大自動車メーカー様の【リヤライナー100%シェア】』『トランクルーム70%シェア』と高いシェア率を誇っております。また、新規参入の【フロントライナー】』に付きましても現在『25%』と言うシェア率で勢威拡大活動中であります。各機能部品のご採用を通じて自動車メーカー様のご満足、引いてはユーザー様のご満足に通じていると自負しております。また、テーマに挙げているスマートファクトリーにおきましては然るべき評価の物差しが難しいのですが自動車業界紙、工業/経済紙などの多くの取材を通じてのご評価、県・市などDX関係部署様、近隣の教育機関などからのご見学などを数多くお受けしており定量評価までは出来かねますがご注目を頂いていると感じております。※【リヤライナー=リヤタイヤとリヤタイヤ周りの板金ボデイの間に位置する防音を主とした機能部品及びフロントライナーは同じ機能のフロントタイヤ周りに付く機能部品です】


情報発信の手段
部品採用に付きましては本社内にプレゼンルームを設け視覚的にご提案を出来る様になっておりますし自動車そのものを会場へ持ち込み、次世代部品のプロトタイプを使ってプレゼン等しております。また、全国の工業系の展示会への出展などで特にリサイクル技術などのPR活動を行っております。その一環ですが【MPS】リサイクルに付きましては『豊田ものつくりブランド』に認定されており配布冊子等に掲載頂き情報発信の一部としています。電子媒体としては自社のHP(周年行事としてリニューアル予定)、自社及び採用専用のインスタグラムにおいて日常の会社の出来事を含め発信。米沢におきましては当TNYへの登録が主ですが顧客購入可能な完成商品で無い事、操業以降安定稼働へ注力してきましたので情報発信は少ないですが今後そう言った媒体を含め情報発信をしていきたいと思っています。※【MPS=Mitsuiya Material Pelletize System 三井屋工業固有のリサイクル技術】


評価を活かす仕組みや体制
先述しました様に自動車の一部品の生産で有る為、部品軸での一般顧客様の声は届きにくいのですが少ない件数になりますが市場情報という形で自動車メーカーを通じて一般顧客様の声が届く場合があります。東北工場も含め三井屋全サイトでISO9001を取得しておりますのでその様な情報があった場合、外部インプット情報として専門の部署が中心となり対応をする仕組みが標準化されていますしマネジメントレビューにて全社にオープンにされます。また、全ての工場見学が対象ではありませんが見学をされたお客様にアンケートを事前に渡し見学後に回収。各工場の方でご指摘の点についての更なる改善などへ役立てます。


今後の計画
まず、本工場をスマート工場モデルと完成させるべき小改善を施すべきアイテムについては日々追及を継続しています。従業員の70%を現地雇用しており日々のPDCAサイクルを回しながら我々の理想とする物に全員一丸でチャレンジしています。また、昨今の自動車業界の取り巻く環境については生産的には厳しく、不確実な事が多いのですが大きな流れとしての電動化は当然進むと思われ部品軽量化のニーズと防音性に長けた弊社の製品の伸び代は大いにあると考える中、東北圏及び関東圏の顧客を更に増やし数年内の生産設備増強による規模拡大は目標として持っております。持続可能な社会と言う観点では弊社は樹脂のリサイクル技術に長年技術蓄積をしており大手自動車メーカーの部品採用や表彰をされおります。先述しましたその一つとして弊社独自のサスティナブルなプラスチックリサイクル技術【MPS】があります。本技術を使った場合、同従来製品比較で38%程程度のCO2抑制効果が見込めます。自動車部品への採用を拡大していく事もさることながら本技術の次世代の取り組みとして各地域のプラスチック課題解決の一助となるべく各工場拠点の行政や本地域あれば山形大学様との連携を開始した段階です。現在の米沢工場の排出量ではMPS技術の基幹設備の導入まで至っておりませんが業容拡大と共に【アップサイクル】によるサスティナブルな事業所を構築したいと思っています。※【アップサイクル=本来は捨てられるはずの品に新たな価値を与えて再生することで、「創造的再利用」とも呼ばれています】


米沢への貢献
東北圏と関東圏のカーメーカーさん対応の為、その中央位置でご縁があった米沢市にお世話になり今日に至ります。まず、我々の思い描く理想的なスマートファクトリーを地に足を付けた形で確実に構築したいと思います。末長い事業継続には取り巻く社会情勢の変化や環境変化など色々な課題があり対応をしていく必要があります。【SDGs】や【C/N】に代表されるような世界的な潮流での変化。自動車部品業界に目を移せば電動化などです。まだ歩みの途中ですが最小のインプットで最大の効果を狙うスマートファクトリー化においてモノづくり企業として同じ悩みを抱える同地域の中小企業の皆様にそれを解消できる一手としてのサービスを提供しwin=winの関係を構築し中小企業の活性化やスポットライトがあたる事が米沢全体での経済の一段の底上げになればと考えています。また、先述しましたがアップサイクルの事業化には多くの地場のお仲間が必要です。『研究開発は元より、企画、造り、運搬、販売』など地場企業の方々とのアライアンスは不可欠でありそう言った裾野の広い活動を通じて《SDGs未来都市宣言》をされた米沢の社会や環境に貢献し持続可能な社会の一員でありたいと思っています。個社に目を向ければ今後の計画にも記載しましたが規模を拡大し地場雇用を増やし、企業の社会的責任をはたすと共に米沢の経済活性化の一助となる企業であり続けたい事は一丁目一番地として言うまでもありません。



現在取り組んでいるSDGsの取り組み<参考>
【C/N】視点では米沢に進出する事で豊田から部品を送っていた物流動線が東北内で最短になり運送便が出すCO2排出に寄与しております。SDGsに代表される持続可能な事業部と言う観点から我々の多く使っているのは電気エネルギーです。これを従来比で徹底して下げその原資を将来的にクリーンなエネルギー購入(又は投資)の2段構えで考えています。前述しましたように生産と言う仕組みにおいては徹底したロスカット(不良減、べき動率向上)です。また、熱可塑性の樹脂シートをヒーターで溶融させて製品を造ると言う観点からは必要な時だけ点火する『高効率ヒーターの採用』、建築当初より特に夏場の熱籠りのする工場内の屋根高さ、特殊屋根構造の採用及び外気導入/排出路を建物として折り込む事により最小限のエアコンの設置のみで働く方への工場環境と省電力を両立。冬場はヒーターから放熱する熱を冷えた材料の加温(予熱)や工場全体の加温に利用して省エネ工場としました。内製比較ですが製品1個当たり生産に対するの使用電力は従来の工場に比べ約30%低減、特に夏場の工場内温度も約3から5℃低下、熱中症の指標の【WBGT指数】も約3から5ポイント低減させた業務環境と省エネを狙った取り組みをしています。また、工場外構の一部にも山形リサイクル認定の廃ガラスからの生産された粒石の利用し雨水の地中浸透性を持たせている事、足元では従業員全員、環境省の地球温暖化を考える国民運動【クールチョイス】に登録各し個人が出来る省エネやSDGsに沿った身近な活動を実施しています。※【C/N(カーボンニュートラル)=温室効果ガス排出量をできるだけ削減し、削減できなかった温室効果ガスを吸収または除去することで実質ゼロにすることです】


3.すべての人に健康と福祉を 7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに 9.産業と技術革新の基盤をつくろう 12.つくる責任つかう責任


商品やサービスの画像


HiConnex(ハイコネックス)電子日報システム



IWBによる生産進捗管理ボード



AGVによる自動搬送




評価 (4 / 2)

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4 コメント作者
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覆面調査員X

専門的な領域で、工場もシステムも拝見してないので、印象評価になってしまうが、米沢に拠点を開き、米沢品質向上運動や、AWARDに積極的に参加していただいてることに「挑戦と創造」の志を感じる。

しゃちょう
評価 :
     

米沢市内で継続的に働ける職場があることは従業員やその家族にとってもとても安心できることだと思います。また、地元採用者が多いことも地元で働きたい、暮らし続けたい人たちにとっての間接的な支援になっており、素晴らしいことだと感じています。地元の魅力は地元にいる人間しか伝えられないと思いますが、その地元に残れるような仕組みを企業として作ってくれていることに感謝です。

りさぶろう
評価 :
     

専門的で理解できないところがありますが、申請内容からここ米沢の工場で、新たな挑戦と創造に取り組み、そして更に行政や大学と連携した取組は、まさに米沢品質向上運動そのものだと思います。
BtoBということから、評価は目に見えにくいですが、会社の姿勢と従業員のモチベーションの高さを感じます。